日本で働く外国人労働者――インドネシアを中心に

インドネシアは人口約2.8億人(世界第4位)の島国です。

 

近年のGDP成長率は毎年5%台で推移し、その人口の大きさから、GDP規模は東南アジア諸国で圧倒的トップです。

 

国民の8割以上がイスラム教徒で、公用語はインドネシア語です。一方で、多民族国家のインドネシアには約300もの民族が暮らしています。

 

国民の年齢の中央値は約30歳で、労働力が豊富である反面、若者の増加に雇用が追い付けず問題となっています。

 

さて、日本における在留外国人の国籍として、インドネシアは第6番目の多さで、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ネパールに次ぎます。

 

2025年末のデータでは、日本国内に居住するインドネシア人は約26.6万人で、その約7~8割が「就労関係」の在留資格を持ちます。

 

日本において、彼らは建設、機械加工、食品工場、農業、介護など多くの分野で活躍していますが、特に、介護現場における特定技能外国人の約1/3がインドネシア人であることが注目されます。

 

ここで、日本における外国人労働者さんの受け入れの現状について、ベトナムとインドネシアを比較する形で整理していきます。

 

ご存知の通り、日本は少子高齢化の影響で介護などの分野を中心に深刻な労働者不足に悩まされています。

 

一方、介護を除く他の就労分野において、母国の経済成長や円安による賃金的メリットの低下から、ベトナム人の間で日本離れが進み、彼らはより賃金の高い韓国や台湾を選ぶようになっています。

 

介護が未だ例外であるのは、この分野では「介護福祉士」という国家資格の取得が目指せるからです。同資格を取得すると、ほぼ永住に近い形での居住が可能になります。

 

また、ベトナムは高い経済成長率を誇りますが、一方で少子高齢化の進行が懸念されており、世界的にも質の高い日本の介護現場で就労することは、帰国後のキャリアプラン形成においても魅力的となっているようです。

 

では、インドネシアの人々にとって、日本で就労するという選択肢のメリットは何なのでしょうか?

 

最も本質的なのは、母国内の雇用が不足している点です。ベトナムと違い今後も多くの若者が職を探し続けることになるインドネシアにとって、日本は就労の選択肢であり続けます。

 

また、日本企業の側もベトナム人ではなくインドネシア人の雇用を積極的に狙うようになっていることも、彼らにとって追い風です。

 

更に、韓国と比べると日本企業の側でイスラム教への配慮が進んでいる点も、彼らにとって安心の材料であるようです。

 

インドネシアからの外国人労働者さんの興味深い特徴は、比較的「特定技能」での就労者が多い点です。

 

ベトナムと違い、政府や労働市場の側に若者の海外送り出しの意欲が高いインドネシアでは、国を挙げて「日本語」と「特定技能」の試験対策が講じられています。

 

そのため、最初から「技能実習」ではなく「特定技能」の枠で日本にやってくるインドネシア人が比較的多いのです。

 

なお、「技能実習」から新制度「育成就労」への本格的な移行に向けて準備が進んでいます。

 

最も大きな違いはそのコンセプトで、今までは国際貢献の一環として、将来的な帰国を前提とした技術支援を目的とした受け入れ方針が、今後は日本の人材不足への解決策として定義し直されます。

 

具体的な変更点では、外国人労働者さんが自由に転職できる権利を初めて得たことです。

 

それにより、ベトナムなどで問題視されていた、現地の悪質ブローカーと日本国内のブラック企業による過酷な人材使い倒しのような事例は根絶されるのではないかと思われます。

 

今後は日本企業の側にしっかりとした受け入れ体制があることが、彼らに「選んでもらう」大前提となってくるのです。